人文情報学研究室では,文化現象の多層的な構造を探究し,人間の創造力や感性が生み出す表現と意味の複雑な絡み合いを解明することを目指しています.デジタル技術と伝統的な人文学の方法論を融合させ,メイク,物語論,伝統音楽,文化資本の影響,ジェンダー役割の理解,eスポーツの文化的意義などを通じた社会的・個人的表現の探究など,幅広いテーマを扱います.定量的・定性的なアプローチを通じて,文化現象と社会との相互関係を多角的に分析し,文化遺産が個々の自己認識や集団意識の形成に果たす役割を解明することを目指しています.
メイクアップ
化粧は,社会的および文化的要素を同時に反映するものです.私たちは,化粧のトレンドやパターンが時間とともにどのように変化してきたかを定量的に分析し,文化の流れを捉える研究を行っています.具体的には,画像分析を通じて化粧スタイルを評価し,それらが時間,地域,社会的要因によってどのように影響を受けているかを理解します.この研究により,化粧が個人のアイデンティティの形成や文化的表現にどのように関与しているかを明らかにすることを目指しています.
物語論
物語は,人間の経験や感情を表現するだけでなく,文化の重要な側面を反映しています.私たちは,物語の形成や理解の仕方を明らかにするため,物語要素を定量的に分析する研究を行っています.これには,キャラクター間の相互作用,物語の展開パターン,テーマやモチーフの頻度などが含まれます.これらの研究を通じて,物語が文化的意味をどのように創造し,伝達するかについて,より深い理解を得ることを目指しています.
伝統音楽
伝統音楽は,その土地の文化や歴史を鮮やかに描き出す重要な要素です.私たちは,伝統音楽の独自のパターンや構造を定量的に分析することで,その理解を深めることを目指しています.これには,波形分析をはじめ,旋律のパターン,リズム,楽器の使用方法などを研究する多面的なアプローチが含まれます.このようなアプローチを通じて,伝統音楽が地域文化や歴史にどのように影響を与え,またそれを反映しているかを明らかにすることができます.
文化資本
「文化資本」とは,知識や技能,教育などの無形の資源を指し,個人の社会的地位や価値観に大きな影響を与えます.私たちは,個人やコミュニティの文化資本がどのように形成され,その違いが社会的成果にどのような影響を与えるかを分析する研究を行っています.具体的には,教育成果,職業的地位,メディア使用のパターンなど,文化資本の形成に関連する複数の側面を調査・分析しています.これらの研究を通じて,文化資本が社会的格差にどのように寄与し,その格差をどのように克服できるかについて,より深い理解を得ることを目指しています.